人の体の仕組みはほぼ同じである。年齢や性別、あるいは人種などによる大きな相違はない。介護サービスを提供している介護職員は、高齢者の体の仕組みを知ることで質の高いサービスを提供できる。また、入浴拒否する高齢者に対し、入浴効果を説明することで、スムーズな入浴を促せる場合も多い。入浴はただ単にさっぱりするためや汚れ落としのためだけではなく、一種の治療である。
疾病の症状によっては、入浴することで驚くべき回復をみせる場合がある。たとえば入浴には脳の血流を改善する効果があるため、認知症リスクを減らすことができると考えられている。また、動脈硬化を改善するという研究結果が報告されている。さらに、体を温めるだけでなく、入浴すると副交感神経が優位になるため、不眠改善、うつ病の改善や予防などの効果が期待できる。
また、入浴には免疫力を向上させる効果があることが、近年の研究で明らかになっている。昔は、37度以上熱がある場合は入浴しない方が良いと言われてきた。だが最近はその考えは変わり、寒気を伴うような高熱は例外とし、37度台の熱であればぬるめのお風呂でじっくり温まる方が風邪の治りが早いと言われている。その理由は、体を温めることで免疫力がアップするからだ。体温が1度上がると免疫力は500〜600%もアップするそうだ。効果的な入浴方法は、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることだ。ストレスを感じるくらいの高温に入ると交感神経が優位になるため、リラックスできず、それほど効果は得られない。