訪問介護を行うホームヘルパーが抱える悩みの1つは、高齢者の入浴嫌いであろう。強く拒否する人でも、いったん入浴してしまえば気持ちよくなるのだが、浴室まで向かうのが一苦労である。なかには、拒否したまま数カ月入浴していない方もいるほどだ。
入浴を嫌がる高齢者に対しては、入浴介助という概念を捨てた方が良い。「これから入浴する」という雰囲気が伝わるだけで拒否反応を示す人もいる。「ちょっとお風呂見せてもらいますね」など気楽な雰囲気で声掛けしよう。「ここ壊れてないですか?」「シャンプーはありますか?」など何気ない会話の中できっかけを作り、風呂場まで誘導する方が効果的な場合もある。まずは風呂場まで誘い出し、風呂場まで来てくれたらついでのような感じで「ここ汚れてるから、ちょっと洗いますね」のように、浴室の掃除の雰囲気を出すと良い。実際、利用者さんの前で軽く汚れを落として見せると「綺麗になった」と喜んでくれるものだ。
「ついでだから、足でも洗います?」のような感じで、次は浴室の中まで来てもらおう。「手が冷たいから、洗面器でちょっと温めましょうか」のように、徐々に持っていこう。手や足を濡らすことに成功したら「ついでだから、ちょっと着替えてシャワーでもしてみますか?」のように、少しずつ慣れてもらおう。いきなり入浴介助やシャワー介助を目標にしなくて良い。まずは着替えからやってみる、足浴から始めてみるというように、目標を少しずつ設定していこう。